酔うてもたれて正月の屏風
[表] 酔うてもたれて正月の屏風 碧 [説明文] 河東碧梧桐《かわひがしへきごとう》(一八七三~一九三七) 俳人。名は秉五郎(へいごろう) 松山の人、旧制三高中退。 酔《よ》うて もたれて 正月《しょうがつ》の屏風《びょうぶ》 正岡子規に師事、俳句革新運動を助ける。...
酔うてもたれて正月の屏風
水鳥群るゝ石山の大津の烟
下草歯朶ハ萩はほろゝゝ散りこぼれ
汐乃よい船脚をせとの鴎ハかもめ連れ
子を歩ませて下枝々々のさくら咲く方へ行く
芦の風ざわついて残る蚊の出る
さくら活けた花屑の中から一枝拾ふ
名残の土筆摘む松三本のよりて立つ影
散る頃乃櫻隣のも吹きさそひ来る
交りをかへまし濁酒酌みにけり
山をやく相談の酒になる哉
今年植えし若木乃桜一葉を残す
西駒ハ斑雪てし尾を肌ぬぐ雲を
温泉を湯を溢れな手を肩を曲がりな脚を
鮎の初漁の日橋のそこらまで出ぬ
瘞紅の碑あるあり四山眠れるに
一艘は出た亀島めぐる櫓声も遠に
獨歸る道すがらの桐乃花おち